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8月29日に行われた民主党代表選挙では、野田佳彦財務相が決選投票で海江田万里経産相を抑えて代表に選出され、8月30日、菅内閣総辞職を受けて開かれた衆参両院にて、第95代内閣総理大臣として指名されました。
民主党代表選から、変わらぬ派閥争いを呈していましたが、震災復興、原発事故処理、経済の立て直しなど、多くの難問が課せられています。そのための財源捻出方法として最有力なのが「消費税増税」。財務相であった野田総理は、復興対策として早急なる消費税増税を唱えていましたが、果たしてその行方はどうなるのでしょうか?新総理の手腕や如何。
「チェンジ・リーダーとイノベーション」というタイトルでお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、「もしドラ」で一世を風靡しているドラッカーの言葉です。
チェンジ・リーダーとは、変化の先頭に立つ人、あるいは自ら率先して変化を巻き起こす人のことです。必ずしも個人とは限りません。人は成功体験の積み重ねで生きるという過程を経ます。成功を体験すると、その状態を維持しようとして同じ手法に固執します。そして、変化する環境に対して成功体験に維持固執すると、臆病なまでに保守的になります。変化は必ずリスクを伴います。しかし、何もしないことが実は最もリスクの大きいことなのです。ドラッカーは、変化が常態となっている時代においては、生き残れるのは自ら変革の担い手であるチェンジ・リーダーとなる者だけである、と主張しています。
そして、チェンジ・リーダーの条件として、以下の4つを提唱しています。
(1)体系的廃棄の推進
(2)継続的改善の実践
(3)成功の追求
(4)イノベーションの推進
(1)体系的廃棄とは、「今実行していることを実行していないと考えて、今からでも実行するかを考えることです。その答えがノーであれば、すぐにその活動はとり止める」というものです。
(2)継続的改善とは、「計画・実行・評価・改善」のPDCAサイクルをベースにした目標管理のことです。
PLAN ・【計画】 … 計画やルールを決める。
DO ・【実行】 … 計画を実行する。
CHECK・【評価】 … 実行した結果を確認する。
ACT ・【改善】 … 実行結果により判明した欠点を改善する。
ドラッカーは、目標は数値で表される等、具体的でなければ継続的改善もありえないと主張しています。
(3)成功の追求とは、失敗ではなく成功に着目するということ。減点主義のはびこる組織は、リスク回避に走り、チャレンジ精神を失うことになります。それを警鐘したものです。
(4)イノベーションとは、オーストリアの経済学者シュンペーターによって初めて定義された言葉です。それをドラッカーが体系化してマネジメントに取り入れました。イノベーション・革新とは、新しいものを生産する、あるいは既存のものを新しい方法で生産することであり、生産とはモノや力を結合することです。イノベーションの例として、創造的活動による新製品開発、新生産方法の導入、新マーケットの開拓、新たな資源(の供給源)の獲得、組織の改革などが挙げられています。
ドラッカー理論はまだまだ細かく展開されていきますが、果たして日本という国のマネジメントに、チェンジ・リーダーとイノベーションはどこまで見ることができるのでしょうか?
ちなみに、ドラッカーの言葉を借りると、成果を上げることのできるリーダーとは、カリスマ性も神秘性も不要とのことです。つまり、リーダーに特有の資質はないのだと。リーダーとは、組織の使命や方向性を自らが納得のいくまで考え抜き、それを見える形にして組織に浸透させる。また、リーダーシップを特権やステータスと考えず責任と考える…つまり、支配者ではなく自己に厳しく常に正しくあろうとすることです。そして、何より信頼の得られる人であることです。信頼は日和見主義では育ちません。リーダーシップとは、賢さより一貫性に支えられるとドラッカーは言います。徹底した「真摯さ」「誠実さ」こそが、リーダーには欠かせない重要な要素なのです。