ブログ…弊社秘書・スタッフの随想・メッセージ・独り言・・・。
前回は、中学3年生で美術部に所属する私の娘の夏の私学展に懸ける熱い思いを綴らせて頂きましたが、今回はまたその作品に纏わるエピソードを少しご紹介したいと思います。
制作活動も大詰めに差し掛かった7月下旬のある日、娘たちの元にふらりと見知らぬ年配の男の先生が、クラブ活動の様子を覗きに来られたそうです。
その先生はマスクこそされていましたが、ニコニコと優しい眼差しで一人一人に話しかけ、大きな作品だけど最後まで頑張るようにと激励して下さったそうです。
少し違和感のある髪型から…あの先生カツラなのかなぁと友達同士でお話していたそうですが…後々、あの先生は4年前から癌を患っていて、今は抗がん剤治療を続けながら学校に来られている事を知りました。
先生は、娘たちの私学展の結果が、個人でも団体でも学校全体で高い評価を頂いたことに大変喜ばれていたそうです。
夏休みも終わり、二学期が始まると、娘たち美術部の正真正銘、最後の作品・・・創芸展に向けての制作活動が始まりました。
これは海外にある幼稚園から大学まで、娘の通う系列校全ての優秀作品が出展されるとあって、かなり壮大な展示会になります。娘の作品は、夏の100号のキャンバスに比べるとサイズ・規模も小さいものでしたが、あれだけの作品を仕上げた自信と以前より少しは身に付いたと思われる技術も手伝ってか、大好きな美術室を描こうと思った瞬間、目で見た美術室の空間に次々とあったらいいなの空想の世界が広がっていき、面白いように筆が進んで 、あっという間に作品が仕上がったと話していました。
その作品の結果は、思いもよらない副校長室で・・・という、何か悪いことでもしたかな~ドキドキと緊張の中で知らされることとなりました。明日の式典の際に優秀賞で名前を選ばれますので、壇上に上がってくださいと・・・えっ?私が??去年は箸にも棒にも引っかからなかった賞なのに! と娘も感激し本当に喜んでいました。
そしてふと、あの先生どうされているのかな、報告したいなぁと思っていた矢先、校長先生より、つい先日お亡くなりになられましたとお話があったそうです。一度しかお会いしてない先生なのに胸の締め付けられる思いだと涙を流していました。
そして、その先生の遺言として・・・中学校の新1年生の使用する道徳の教科書の表紙を彼女に任せたいと娘の名前が告げてあったそうです。
私は運転中にその話を聞いたのですが、涙で前が見えなくなるほどでした・・・
何て皮肉な・・・こんなことだったら結果の報告もしたかったし、もっときちんとお礼も言いたかったのにと、溢れ出る感謝の気持ちに押しつぶされそうな様子でした。
私も娘からお話だけ聞いていたので、とても残念で何とも言えない気持ちになりました。
しかし、今、娘は先生に遺して頂いた使命という最高のプレゼントを胸に、みんなに喜ばれる作品をと構想を練っています。
夏よりもまた一つ大きく成長したような気がしました。
あの夏の作品以来、勉強にも学校生活にも誠実に向き合って努力している姿に、熱い気持ちは本物だったのだと感心する日々です。