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イギリス政府の報告書が白い表紙(white paper)だったので、日本でも『白書』と呼ばれるようになった、ということを昔学校で聞いた記憶があります。日本政府・官公庁が公表する分厚い報告書、残念ならら長い人生で、これを購入して真剣に内容を読むということは、全くありませんでした。しかし、インターネット上にこれらが公表されるようになった今、無料で読むことができることでもあり、たまには覗いて勉強してみようかと。
ちょうど、2009年度の白書が公表される時期でもあります。経済産業省・中小企業庁から発表された中小企業白書の概要を少しご紹介いたします。現状を正しく把握し分析したものかどうか?表面的なものに終わっていないかどうか?…特に大企業と差がない中小企業もあるとのコメントあたりは、少し興味深いものではないでしょうか。
もしご興味をお持ちになった方は、関係ホームページを訪れ、さらに深くご研究ください。
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【中小企業白書2009年版の概要】 ~経済産業省ホームページより~
中小企業の業況が一段と悪化し、かつてない厳しい状況となった2008年度の動向を分析。こうした状況の中、中小企業が、その強みである創造性や機動力を一層活かし、直面する苦境を乗り越えていくための視座として、中小企業のイノベーションと人材の確保・育成を採り上げ、分析を行った。
◆◇第1章 2008年度における中小企業を巡る経済金融情勢
世界的な金融危機が発生し、世界経済が減速している影響を受け、我が国の景気が急速に悪化し、雇用情勢が厳しさを増す中、中小企業の業況、資金繰り等の動向を分析。
・我が国の輸出の減少に伴って製造業の生産が急速に減少し、下請事業者の受注が大幅に減少するなど、中小企業は売上の減少に直面し、業況や資金繰りが悪化。
・こうした中、政府は、30兆円規模の資金繰り対策、下請取引の適正化等、中小企業対策の積極的な実施に取り組んだ。
◆◇第2章 中小企業による市場の創造と開拓
厳しい経済情勢の下、中小企業が売上の維持・拡大を図っていくため、変化する市場のニーズを把握し、イノベーションを実現していくための課題を分析。
・中小企業のイノベーションの特徴(強み)は、経営者の創意工夫や機動的な意思決定等にある。
・研究開発に取り組む中小企業は業況が良い傾向がある。現在、厳しい経営環境にあるものの、中小企業が研究開発等を通じてイノベーションの実現に取り組んでいくことが期待される。
・中小企業が販路を開拓していくため、市場のニーズを把握するためのモノ作りとサービスの融合のほか、農商工連携、ITの活用による顧客獲得、海外市場の開拓等に取り組むことが重要。
・中小企業のイノベーションを支える経営資源については、知的財産の戦略的な保護と活用、イノベーションを担う人材の育成のための技術・技能承継等、資金供給の担い手である金融機関の目利き能力の向上等が必要である。
◆◇第3章 中小企業の雇用動向と人材の確保・育成
雇用情勢が厳しさを増す中、中小企業の雇用動向や中小企業で働く人材の現状を示すとともに、中小企業を支える人材の確保・育成に向けた課題を分析。
・中小企業全体の雇用過剰感が高まっているが、引き続き不足感のある中小企業もあり、雇用のミスマッチが生じている。
・中小企業で働く正社員は、非正規労働者からの中途採用や、異業種からの転職者も多い。厳しい雇用情勢を踏まえ、人員が不足している一部の中小企業へ人材の橋渡しを行うことが重要。
・中小企業の労働条件についてみると、中小企業の正社員の一部は大企業の平均賃金を上回る賃金水準となっており、また、大企業と中小企業で仕事のやりがいにはほとんど差がない。経営者と従業員のコミュニケーションを高めること等により、中小企業の従業員の意欲と能力を高めていくことが重要。