ビタースィートという言葉が好きです。ビターだけだと辛すぎる。スィートだけは長続きしなさそう。ビタースィートは両方の釣り合いが取れている感じがしてそんな人生だといいなと思います。

さてこちらでお仕事をさせて頂くようになって早や3ヶ月。久々に「コミュニケーション」について思いを巡らせていると、昔々のビターな思い出が蘇りました。

その頃私は某大手旅行会社が始めた「旅の通信販売」という新企画の電話受付のアルバイトをしていました。当時、ツアーはお店でパンフレットをもらったり販売員に相談したりして決めるのが一般的だったので、海外ツアーのカタログ販売というのはとても斬新なイメージがありました。

その日はGWの行楽日和で、二十歳そこそこの私は遊びに行けない不満と蒸し暑いオフィスにうんざりした気分で業務につきました。1本目に掛かってきたお電話は若いお声の女性の方からでした。私はいつも通り出発までの流れを淡々とご説明し最後に「何かご質問等ございますか？」とお聞きした時、それまでずっと黙って聞いておられたその方が「何だか冷たい感じを受けました。」と仰ったのです。

私は大げさではなく頭をガンと殴られた気がしました。そのお客様は多分初めての経験で不安だったでしょう。でも旅行をとても楽しみにもされていたでしょう。そのワクワクする高揚感を1本のお電話で台無しにしてしまったのです。

平身低頭謝罪しましたがどうする事も出来ません。私は改めて電話応対の重要性を思い知らされました。本当に今でも思い出すと胸が痛む私のビターメモリーです。