ブログ…弊社秘書・スタッフの随想・メッセージ・独り言・・・。
あれはGW明けの金曜日。 会社を出ようと建物の外に一歩踏み出した時です。
おっとっと!! 危うく足を着地させようとしたその先に、小さな小さなスズメのヒナがチョコンと座っていました。
突然現れた私に驚いた様子で、細かく跳ねながら道の脇に停めてあったバイクの下に隠れてしまいました。冷たい5月初旬の雨が小さな身体とアスファルトをしっとり濡らし、余計にスカスカになった羽が哀れに見えました。
どこから落ちてきたんだろうと辺りをぐるっと見渡しましたが、巣らしきものは見当たりません。野生の鳥とはいえ、親からはぐれてこんな都会の真ん中で一人で生きていけるのかと心配になり、連れて帰る訳にもいかないし・・・と思いながらも気が付けば夢中でおいでおいでと、手のひらに乗せようとしていました。
そこに、ちょうど戻ってきた事務の方に、この雨で死んでしまうわ~家に連れて帰ってあげて~と背中を押され、もう心は決まっていましたので、家に連れて帰ることにしました。鳥は何か幸運をトリ込んでくれる・・・と微かな期待と共に・・・
持っていたタオルでくるんで水気を取り、温めながら急いで帰宅しました。
家に着くと一目散にペットショップへ。
カナリアを入れる丸いタイプのお部屋とベッド・・・そして一番大切なひな用のご飯を買いました。こちらは、30℃くらいのお湯で溶かすタイプのもので、色も香りもきな粉そっくりでした。
犬や猫を育てた経験はありますが、小鳥は初めてで、どのようにして餌をあげていいのかも手探り状態でしたが・・・大きなお口を開けて待ってくれていますので満足するまで少しずつ食べさせてあげようとストローであげてみました。ところが、小さなクチバシからは想像もつかない早さでどんどん餌を押し込んでいきました。もう喉の辺りはパンパンでハーハー言っていました。一時飲み込むのを待って次は牛乳に浸したパンをあげてみました。こちらもお口にあったらしく、すごい勢いで食べてくれました。そして、お腹が膨れると、分かり易いものでプイッとよそを向きます。この仕草もまたたまらなく可愛いです。
狭い籠の中に入れっぱなしというのも可哀想なので、たまに部屋の中で飛ぶ練習をさせてあげます。最初は同じ高さのところで、まさにプロペラの様にブルブルブルブルと羽音を鳴らすだけで、直ぐにちょこんと誰かの肩に乗っては休憩・・・もしくは急降下していました。しかし早いものでうちに来て1ヶ月以上が経ち、だんだん鳥らしくなってきて飛行距離も長くなってきました。と言ってもまだまだ数メートルの話ですが・・・
今では一人で飲めなかったお水も飲めるようになり、お粥のように柔らかくしたごはん、リンゴ、白菜などの野菜も好んで食べるようになりました。出かける前にはフルコースでお食事の準備をしてきます。これもなかなか大変ですが、家に帰ると身体もお部屋も汚しながら必死に一人で食べた形跡があって、とても可愛く愛おしく思えてきます。
もうこうなると我が子のようですね・・・
家族の一員としてすっかり馴染んでいます。そして、期待通り、待ってました!素敵なお知らせをちゃんとトリ込んでくれました!
スズメちゃんが来て数日後、娘の手がけた絵が新中学一年生の道徳の教科書の表紙になって使用されていると、見本を頂いてきました。やはり仕上がったものを目の前にすると感動するものです。
もう娘は高校生に上がってしまいましたので中学生の教科書を手にすることはできないと諦めていたのでとても嬉しい様子でした。きっと、スズメちゃんが運んでくれたんだなと直ぐに思いました。
あの時の雨の日の出会いに感謝したいです。