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ブログ…弊社秘書・スタッフの随想・メッセージ・独り言・・・。

幽玄の茶会 ~弓弦羽神社/大阪大学茶道部~

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いよいよ梅雨も本番となりました。皆様いかがお過ごしでしょうか?

先日、趣向を凝らした茶会があるとのお誘いを受けて、出かけてまいりました。場所は神戸市東灘区の弓弦羽(ゆづるは)神社。阪急電車の御影駅から南東へ徒歩約3分。雨の降りしきる閑静な住宅街を歩くと、駅の近くとは思えぬ巨木が現れて、境内に至ったことを知ります。新緑がどんどん緑を深めていくこの季節、降りかかる雨の助けもあるのでしょう、大量の緑から放たれる強い香りと生気に驚かされます。

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神社の社務所会場に設けられた茶席は、わずかなロウソクとLEDライトに照らされた闇の世界。テーマは天の川と蛍狩り。揺れるロウソクの炎はその周りを微かに橙色に染めあげ、天の川に見立てたライトの配置はなだらかな流線を描いて、蛍のようにゆっくりと明滅を繰り返しながら色彩を微妙に変化させていきます。薄茶のおもてなしをしてくれたのは、キリッと和服姿の大阪大学茶道部のみなさんでした。

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社務所の外では、庇の下で雨をしのぐ虚無僧が尺八を奏でていました。この日の茶会のために総勢15人が集合されたそうです。尺八の音色は、限られた色彩の茶席に古風という音色を添えていました。入梅のこの日、雨は弱まる様子もなくお昼あたりから激しさを増すかのようでもありました。それでも平然と尺八を吹き続ける、やはり虚無僧とは、一休禅師の残した歌のとおり、「・・・雨降らば降れ 風吹かば吹け」 の心境なのでしょうか?

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待合には赤膚焼の燈火器が飾られていました。赤膚焼は、奈良市西部の赤膚山を中心に窯を広げる焼きものです。細やかで鉄分を含む赤みを帯びた土、色鮮やかな『奈良絵』の絵付け、小堀遠州以来さらに茶道具に使われていることで知られています。もちろん、ひとつひとつが手作りのため、同じものは存在しないとか。茶席を待ちながら見つめる蝋燭灯の仄かなゆらぎは、精巧を極めたその燈火器の細工をとおして、幽玄の光と影の世界を映し出していました。

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弓弦羽神社の東隣りは香雪美術館。朝日新聞社の創設者のコレクション…日本・東洋の美術品を中心としているそうです。この時期の展示テーマは『花鳥風月の美』。2階建の建物内に展示品数はそれほど多くはありませんでしたが、狩野派の面々や円山応挙、俵屋宗達、与謝蕪村といった多くの著名芸術家の作品が展示されていました。館内には茶道具を飾った茶室も備えられていて、ゆったりと鑑賞することができました。

山手に少し歩くと御影ガーデンシティがあります。お昼にそこの『西村屋・花みかげ』でいただいた和膳には、小さな紫陽花が添えられていました。窓の外に降りしきる雨の世界から、今まさに手折られてきたばかりのように、透明で清純ないくつもの雫にまみれた淡いピンク色の小さな花が…。

雨の休日、ちょっと上品に、そして贅沢に、時間を楽しんでまいりました。

2010/06/26 posted by 夏花