ブログ…弊社秘書・スタッフの随想・メッセージ・独り言・・・。
街の灯りチラチラ あれはなにをささやく~♪
堺正章さんの名曲『街の灯り』のワンフレーズです。
夕日が沈み、人々がやすらぎを求めて家路に着く頃、家庭にいるような安息を与えてくれるお店。そんな雰囲気をと願ったのでしょうか? そのお店の名前は、『街の灯り』の英訳『シティライト』。
弊社と同じビルの1階に在る喫茶店。
創業36年だそうで、夜はまた仕事帰りの常連客が立ち寄っては歌う、安さが自慢のカラオケスナックでもあります。でも、女性っけは全くなくて、青じそ和風ドレッシング風味大根サラダを超得意技とするマスター1人だけの飾り気のないお店なのです。
キープボトルが並ぶ棚の一画には、押し込められたように、オペラとジャズとクラッシックと懐かしのスクリーンミュージックのCDが並び、ここ数十年来の新譜CDの入るスキマは一切ありません。
店舗の内装は古く暗いままで、「これがレトロという新しいジャンル」と、マスターはニコニコと笑顔で得意そうに語ります。
レトロが連想させるような甘い雰囲気にはほど遠く、ややノスタルジックではあるかもしれないけれど、クラシカルでもエレガントでもファンタジックでもスタイリッシュでもない。ただただシンプル。素っ気なくて、素早くもなく素敵でもないけれど、ただただ素朴。つまり…『素』。
そんな素性の知れぬマスターに、「出身地は?」と聞くと、「とぉきゃ−し!(東海市)」…と、バリバリの名古屋弁が返ってきます。
お客様が注文するまで、水以外なにも出さないし、なにも注文を聞かない。そのまま水だけ飲んで帰っても、なにも言わない…のでしょう。きっと。いつまでも変わらぬ笑顔で見送って…。
閑散を常としたお店にも時折、カウンターの7席が一度に全部埋まるという大事件が起きます。そんなとき、この芝田界隈には、静かなウワサが流れます。「シティライトにバブルが来た」と。
決してヒヤカシでも羨望でもなく、人々はただ安堵するのです。今ではもうこの街の暮景に欠かせなくなった一つの光…チラチラと消えそうで消えない危なっかしそうな灯…は、いつまでも、いつまでも、ずっとそこに灯っていてほしいのでしょう。
激しく移り変わる時代を追いかけることに疲れて、ふと立ち寄ったとき、置き忘れてきた何か大切なものをようやく見つけた…ような錯覚が。。。何かは分からない。もしかしたら、この冬一番のインフルエンザ高熱から来る幻覚なのかもしれないけれど、でもやはり、36年間の実績が物語るお店。そこには、きっと何かがあるに違いありません。
シティライトからの帰り道、梅田の駅前通りには、冬恒例のツリーイルミネーションが、まばゆいほど華やかにキラめいていました☆☆☆