ブログ…弊社秘書・スタッフの随想・メッセージ・独り言・・・。
ナポレオン以降の1837年、パリで一軒の馬具店が創業しました。一流の職人技で上流階級のお客様のニーズに応え、オリジナリティ溢れる芸術的作品ともいえる馬具を作り続けていきました。その後20世紀になり、第三代目社長は、馬が自動車に取って換わる世界の情勢を的確にとらえました?馬具からバッグだ!と。(決してシャレでこう考えたわけではないはずです。。。
きっと(? ?;
自分たちが本業として培った技術を活かし職人たちを守ること、鞍を運ぶためのバッグ作りのノウハウは既に持っていたこと、車の時代にバッグのニーズはドンドン増えていったこと?この経営のカジ取りは正解でした。それに加えて、『一職人が一つの商品を最初から最後まで作りあげる』という姿勢をくずさない経営哲学が当たりました。
確かにバッグの縫い方ひとつを見ても、サドルステッチという馬具の縫い方はミシン縫いと比べても強くて10年、20年経っても丈夫だとか。洗練された職人の眼で個々の革の性質を読み、熟練技で最高級の素材を最高級の製品に仕上げていく。人気商品が出ても機械化することも職人の数を増やすこともしませんでした。
生産が追いつかないから、注文を受け付けない。数十万円から数百万円もするバッグを。それにプレミアがついて、それでも手に入らないという状況が続きました。最近は定価がプレミア付実勢価格に近づき、落ち着いてきたそうです…つまり値上げ?(> <)
そう、ケリー・バッグやバーキン・バッグ、つまりエルメスのことです。
「ここに並んでいるのはエルメスの商品ですが、売っているのはエルメスという名の幸せです」販売員が言いました。母から娘へ代々受け継がれていく商品。モノを大切にするという精神なら、かつて日本もお家芸としたはず。それは、アメリカの大量生産・消費精神に凌駕されていったはず。。。(??)しかし、ちょうどそのエルメス店の隣には、アメリカの高級ブランド宝飾店のハリーウィンストンが堂々とオープンしていました。
御堂筋の心斎橋北側に最近できたエルメスの御堂筋店。この並びには、クリスチャンディオール、シャネル、ルイヴィトン、カルティエ、ダンヒル、オメガ、ジョルジオアルマーニ、ハリーウィンストン、そしてエルメスが、いま軒を連ねています。たしか、かつては金融機関が占拠していたあたり。心斎橋はいま大きく変わりつつあります。
障子をあしらったガラス張りの前面壁が、大阪の初夏の少しギラギラした光をやわらかい光に変えて、パリの伝統と高い精神から生まれた製品群を優雅に包み込んでいました。価値観、価格、そしてビジネス戦略というモノを考え直す良い機会となりました。
ただ、私には、『幸せ』を手に入れるのはまだまだ先のことのようですが。。。